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『「石油」の終わり エネルギー大転換』トランプと中東と中国のダンス

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石油の海上リグ

毎日流れてくるニュース。しかし、それらは個別の事象としてみている限りは本当に理解することはできません。

たとえば、次のような現象はまったく別の事柄のように思います。

  • 南シナ海における中国の軍事力の増大
  • アメリカの自国第一主義
  • サウジアラビアの政変
  • イランを巡るアメリカとロシアの確執

しかし、これらの出来事の底流にはひとつの同じ流れがあります。

それが石油を中心とするエネルギーのあり方の大きな変化です。

 

そして、毎日ニュースを見たり新聞を読んだりしているだけではわからない、「底流にある何か」を理解するのに役立つのが今回紹介する『「石油」の終わり エネルギー大転換』です。

 

本書の著者はこのように語っています。

一帯一路、米国第1、中東の混迷、パリ協定、シェール革命、EV、フクシマ。一見、ばらばらに見えるこれらの事象はエネルギーというフィルターを通すとすべてつながる。これらが互いに作用し、ぶつかり合う先に見えてくるのは、石油を土台とする 20 世紀型秩序の破壊と再生だ。

ふり返ってみると20世紀は戦争の世紀でもあったわけですが、戦争の原因の一つとなっていたのが石油などのエネルギーでした。

そしてこれは、イラク戦争まで続くことになります。建前では違うかもしれませんが、イラク戦争を巡っての米英と他国の確執の原因はイラクの原油利権だったのでしょう。

 

しかし、この石油を巡っての争いの形は大きく変わります。

その大きな理由はアメリカのシェール革命です。

詳しくは本書を読んでいただくしかないのですが、これが、すべてを変えたのです。

 

『「石油」の終わり エネルギー大転換』で学べること

  • 中東産油国の動向
  • アメリカのシェール革命のインパクト
  • 国際石油資本のビジネスのあり方
  • エネルギーを巡る国・会社の総力戦の行方
  • 国際政治ニュースの裏側
  • 日本のエネルギー政策
  • エネルギーの未来
  • 日本の商社・電力企業の取り組み

決断しないことが日本の未来を危うくする

 

ガソリン供給網の維持とEV向けの充電スタンド、FCV向けの水素スタンド。3つのインフラ整備を同時に進めることは難しい。結論を先送りし続けることは、次世代産業の主導権をめぐる競争から取り残されることを意味する

フランスと英国が2040年までに国内でのガソリン・ディーゼル車の販売を禁止することを決めたように、日本も早く決断しなくてはなりません。

退路を断たないことには物事は進んでいきません。

 

パリ協定における厳しいCO2排出規制を達成するためには、いつまでもガソリン・ディーゼル車を走らせておくわけにはいきません。

個人的には、早期にEVが標準になるように規制していくべきだと考えています。

EVは、走る車であると同時に蓄電池でもあるので、発電量が不安定になりがちな太陽光発電など再生可能エネルギーとの相性はよいはずです。

 

本書には、原子力発電の建設における中国、ロシアの台頭についても言及がされています。

日本も原子力発電をどうするのかを早急に決めなければなりません。

原子力発電をなくすのあれば、それに代わる方法を見つけなくてはなりません。

 

存続させ、そしてエネルギーミックスの柱にするのであれば、そのために動かなければ技術者がいなくなります。

いずれにせよ、決断して、前に進んでいかなくてはならないのです。

エネルギーの根幹を他国に依存することは安全保障上もかなりリスクの高い行為になりかねません。

 

エネルギー政策は、安全保障とならぶ国家の重大事

エネルギー政策は安全、環境、経済性、安定供給の4つの要素の最適バランスを見つけることに尽きる。世界の不透明感が増し、エネルギー利用構造の大転換が進む状況下ではより冷静に、より客観的に、遠くを見ることが求められる。

まさに今の時代は100年続いてきた石油がベースとなる社会が大きく転換する時期なのです。

ただでさえ混乱する時期に日本では福島原発の事故も重なり、混乱に拍車がかかりました。

 

しかしエネルギー政策は、食料政策や国防と並び国家の根幹であり、もっとも優先順位の高い問題でもあります。

 

そして、ひとつの決断で国家の将来が大きく左右されます。

 

石油資源の乏しい日本では、石油の自給は望めず、他国からの輸入に頼るしかありません。

しかし、それは同時に他国に自国の首根っこをつかまれているということも意味します。

第二次世界大戦やオイルショックを経験した方ならその意味がよくわかると思います。

 

『「石油」の終わり エネルギー大転換』の感想

この本を読んでいて強く感じたことは、今後のエネルギー分野におけるアメリカと中国の影響力の強さです。

現在のエネルギー大転換の底流には、アメリカのシェール革命と中国の経済成長に伴うエネルギー消費量の増大があります。

 

シェール革命によりエネルギーの自給自足が見えてきたアメリカは世界の警察である必然性が少なくなってきていて、それが中東の騒乱にも繋がっています。

もちろん、それは日本のエネルギー政策にも大きな影を落とします。今後は石油やLNGの多くを中東からの輸入に頼るのは大きなリスクにつながりかねません。

 

本書にもあるように、国の根幹をなすエネルギー政策は「安全、環境、経済性、安定供給の4つの要素の最適バランスを見つける」ことが重要になってきます。

冷静に、そして長期的視点をもってこのエネルギーの最適バランスを見つけ出し、その実現に早急に取り組むことが求められます。

 

本書は国際政治の動向、国の経済といったマクロな視点だけではなく、電力会社、商社、エネルギー企業の取り組みなどミクロな視点もふんだんに取り入れられていて読みやすかったです。

 

本書の著者は広範なキーパソンへのインタビュー、そしてエネルギー分野への造詣の深さ、そしてバランスのとれた視点で物事を見る力が傑出しているように感じられました。

 

本書は次のような人にとくにおすすめできます。

  • 国のエネルギー政策に関わるような人
  • エネルギー関連のビジネスに従事されている方
  • 投資家としてエネルギー企業への投資を検討(あるいはすでに投資)している人
  • 国際的なニュースに対してより深く理解したい人

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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それではまた。

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