資産運用

ライザップの業績下方修正に学ぶPL重視の投資家がおちいる罠

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日本株の中でも群を抜く成長率で個人投資の人気が高かったライザップグループですが、大幅な業績の下方修正をしました。

連日のストップ安になっており、この1年間で株価は1/10くらいになっています。

株関連の雑誌でも取り上げられることの多かった企業なので高値づかみしている投資家も多いでしょう。

この記事では、ライザップグループの成長のからくりとそれを見破るために投資家がしなくてはならなかったことについて解説します。

損益計算書だけでは本当の姿は見えない

多くの個人投資家にとって、その企業が割安かどうかを判断する基準はPERだと思います。

PERは株価/EPS(一株純利益)で求められます。

EPSは、当期純利益を発行済み株式数で割ったものですからPL(損益計算書)の領域です。

 

PLというのは、ある意味で恣意的な部分のあるもので、ルールの範囲内である程度コントロールできてしまいます。

※ルールを逸脱すると脱税ないしは粉飾決算という望ましくない事態になります。

 

一方でキャッシュフローというのは、お金そのものの流れのことなので恣意性を挟むことができません

お金の出入りがあったのになかったことにしたらその時点で粉飾であり、監査法人に見つかってしまいます。

では、実際の例としてライザップのPLとCFを見ていくことで、このPLとCFの違いを確認します。

ライザップの業績推移

ライザップ業績推移

ライザップの業績推移です。

これを見たら「すごい成長企業だ」と思うのも無理はありません。

しかし、これにはからくりがありました。

それが、M&Aによる売上の拡大と割安購入益による営業利益の嵩上げです。

割安購入益による営業利益の嵩上げ

ライザップのIR資料を見てみます。

ライザップ 割安購入益

2017年、18年の営業利益を見てみると半分以上がM&Aによる割安購入益となっています。

この割安購入益について詳しく見ましょう。

ライザップ 割安購入益説明

とてもわかりやすい資料です。ありがとうライザップさん。

つまり、簡単に言ってしまえばPBR1倍以下の企業を見つけてきて買収してしまえば、その期には大きな利益を計上できるのです。

その嵩上げ分が2017年と18年はかなり大きくなっていました。

見誤ったライザップの戦略

ライザップの戦略としては、以下の3つのステップがあったと僕は考えます。

  1. 割安企業の買収
  2. 買収した期は割安購入益で営業利益を嵩上げ
  3. 次の期以降は買収企業の再生により営業利益を積み上げていく
  4. 業績回復により投資先企業の価値(または株価)上昇により評価益(または実現益)が発生
  5. 自社の株価上昇ならびに資本の増大によりさらなる買収が可能になる
  6. 1に戻り繰り返し

この循環を繰り返すことで爆発的な成長(5年で売上約6倍、営業利益約12倍)を実現してきたのです。

しかし、ここで誤算がありました。

買収先の企業の中に業績が回復しない企業が出てきたのです。

ライザップ 上場子会社

最優先とされているのが、ぱどとMRKホールディングスです。

ここの再生を最優先するために、とりあえず新規M&Aを見送ることになったのです。

そうすると、当然のことながら「割安購入益」がなくなってしまいますから、その分の営業利益が吹っ飛びます。

そして、新規M&Aがなければ、来期以降の売上と営業利益の成長は既存事業のオーガニックな成長と業績不振事業の回復にしか頼れなくなります。

とりあえず、現状としてはこの段階だと思います。

 

会社側としては、最優先の2社を軌道にのせて、再び高成長を目指していこうと考えているでしょう。

一方で、投資先の再生がうまく行かず赤字が続くようでしたら、減損処理によるさらなる業績の悪化という自体もありうるでしょう。

 

キャッシュフローはよりその企業の真実を表す

PLだけを見ていたライザップの投資家は今頃右往左往していることと思います。

しかし、キャッシュフローをしっかり追っていた投資家は、ライザップのPLのマジック(割安購入益)のことは気づいていたはずです。

なぜなら、ライザップのキャッシュフローの推移はかなりいびつだからです。

ライザップのキャッシュフロー

ライザップ キャッシュフロー

営業CFの推移を見てみると、2010年から21億円→3500万円→1800万円→4億7800万円などとかなり大きな波があることがわかります。

プラスになっているだけマシではありますが、やはりこういった企業はなんらかのからくりがあると考えたほうがよいです。

かつてライブドアなんかもめちゃくちゃなCFでしたし、PLはきれいに見せることはできても、CFまではごまかせないということです。

優良企業のキャッシュフロー

具体名はあげませんが、僕が優良企業だと考えている企業のCFはこのようになっています。

優良企業のCF

この企業のCFが好ましいと考えるのは以下の点です。

  • 営業CFが確実に増えていっている
  • 営業CFの範囲内での投資を行っている
  • 財務CFはマイナス(負債の返済または株主への還元を行っている)
  • フリーCFがプラス

このようにPLだけでは見えてこない企業の本当の姿をあぶり出すためにはキャッシュフローを見ることが大切だというお話でした。

キャッシュフローをしっかり追うことができるようになると変な企業に引っかかる確率が劇的に減るので、ぜひこれからはPLだけではなくCFも(もちろんBSも)見るようにしてみてください。

 

PS:別にライザップが変な会社だと言っているわけではありません。ライザップはマーケティングに長けた企業ですし、事業領域をよりしっかり絞って買収依存を脱却すればまだまだ成長の余地はあると思います。あくまで今回の記事はPLだけではなくCFも見ることが投資家にとって大切だという話のためにライザップの例をあげさせてもらったということです。

 

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